概要#
M-1グランプリは、吉本興業と朝日放送テレビが主催する、プロの漫才師を対象とした日本のお笑いコンテストである [1]。2001年に第1回が開催され、漫才日本一を決定する大会として広く認知されている。優勝者には賞金1000万円と、その後のキャリアにおいて大きな飛躍の機会が与えられる [2]。
歴史・背景#
M-1グランプリは、2000年に吉本興業創業90周年記念事業として企画され、2001年に第1回大会が開催された [3]。当時の漫才ブームの再燃を願い、島田紳助がプロデューサーを務めた。当初は「若手漫才師の登竜門」としての位置づけが強く、結成10年以内のコンビに出場資格が限定されていた。この制限は、漫才の新たな才能を発掘し、お笑い界に新風を吹き込むことを目的としていた [4]。
2010年の第10回大会をもって一旦終了が宣言されたが、漫才文化の継承と発展を求める声が高まり、2015年に「M-1グランプリ2015」として復活。この復活を機に、出場資格が「結成15年以内」に緩和され、より多くの漫才師に門戸が開かれた [5]。これにより、中堅漫才師が再評価される機会も増え、大会の多様性が向上した。
主要な内容#
大会形式#
M-1グランプリは、毎年夏頃から予選が始まり、1回戦、2回戦、3回戦、準々決勝、準決勝を経て、12月に決勝戦が行われる。
- 出場資格: プロの漫才師であること、そしてコンビ結成15年以内であること(2015年復活以降)。アマチュアも出場可能だが、プロとの対戦となる。
- 審査基準: 漫才の技術、ネタの構成、独創性、会場のウケなどが総合的に評価される。審査員は、お笑い界の重鎮や過去のM-1王者などが務めることが多い [6]。
- 決勝戦: 決勝戦は生放送で行われ、通常9組のファイナリストが選出される。敗者復活戦を勝ち上がった1組を加えて、計10組で争われるのが通例である。決勝戦は2ラウンド制で、ファーストラウンドで高得点を獲得した上位3組が最終決戦に進出し、最終決戦で優勝者が決定される [7]。
歴代王者#
M-1グランプリの歴代王者には、その後の日本のお笑い界を牽引する存在となった漫才師が数多くいる。彼らはM-1優勝をきっかけに全国的な知名度を獲得し、テレビ番組のレギュラー出演や単独ライブの開催など、活動の幅を広げている。
| 開催年 | 優勝コンビ | 所属事務所 |
|---|---|---|
| 2001年 | 中川家 | 吉本興業 |
| 2002年 | ますだおかだ | 松竹芸能 |
| 2003年 | フットボールアワー | 吉本興業 |
| 2004年 | アンタッチャブル | プロダクション人力舎 |
| 2005年 | ブラックマヨネーズ | 吉本興業 |
| 2006年 | チュートリアル | 吉本興業 |
| 2007年 | サンドウィッチマン | グレープカンパニー |
| 2008年 | NON STYLE | 吉本興業 |
| 2009年 | パンクブーブー | 吉本興業 |
| 2010年 | 笑い飯 | 吉本興業 |
| 2015年 | トレンディエンジェル | 吉本興業 |
| 2016年 | 銀シャリ | 吉本興業 |
| 2017年 | とろサーモン | 吉本興業 |
| 2018年 | 霜降り明星 | 吉本興業 |
| 2019年 | ミルクボーイ | 吉本興業 |
| 2020年 | マヂカルラブリー | 吉本興業 |
| 2021年 | 錦鯉 | ソニー・ミュージックアーティスツ |
| 2022年 | ウエストランド | タイタン |
| 2023年 | 令和ロマン | 吉本興業 |
影響と評価#
M-1グランプリは、単なるお笑いコンテストに留まらず、日本のお笑い文化に多大な影響を与えてきた。
- 漫才の多様化: 大会を通じて、様々なスタイルの漫才が評価されるようになり、漫才の表現の幅が広がった。従来のしゃべくり漫才だけでなく、コント漫才、設定漫才など、多様な形式が視聴者に認知されるきっかけとなった。
- 若手漫才師の登竜門: 優勝を逃したコンビであっても、決勝進出や上位入賞をきっかけにブレイクするケースも少なくない。これは、M-1グランプリが若手漫才師にとって重要なキャリアアップの機会となっていることを示している [8]。
- 社会現象: 毎年12月の決勝戦は高視聴率を記録し、その年の流行語や社会現象となるネタも生まれる。大会終了後には、優勝者の漫才スタイルや審査員のコメントなどがインターネット上で活発に議論され、社会的な注目を集める。
- お笑いブームの牽引: M-1グランプリの開催は、定期的にお笑いブームを巻き起こし、お笑いライブやテレビ番組の活性化にも貢献している。
関連事項#
M-1グランプリと漫才論争#
M-1グランプリでは、「漫才とは何か」という定義を巡る議論が度々発生する。特に、コント的な要素が強い漫才や、立ち位置をほとんど変えない漫才などに対して、「これは漫才ではない」といった批判的な意見が寄せられることがある。2020年大会で優勝したマヂカルラブリーの漫才を巡っては、審査員の間でも意見が分かれ、大きな話題となった [9]。このような議論は、漫才という芸能形式の多様性と進化を示すものと捉えることもできる。
類似のコンテスト#
M-1グランプリ以外にも、日本には様々なお笑いコンテストが存在する。
これらのコンテストは、それぞれ異なるジャンルのお笑いを対象としており、日本のお笑い界の多様性を支えている。
脚注
- 朝日放送テレビ「M-1グランプリとは」https://www.m-1gp.com/about/↗↩
- 吉本興業「M-1グランプリ」https://www.yoshimoto.co.jp/m-1gp/↗↩
- M-1グランプリ事務局「M-1グランプリ歴史」https://www.m-1gp.com/history/↗↩
- 『M-1グランプリ 漫才論争史』新潮社、2021年。↩
- 「M-1グランプリ、5年ぶり復活!出場資格は「結成15年以内」」ORICON NEWS、2015年3月23日。↩
- M-1グランプリ事務局「審査員」https://www.m-1gp.com/judge/↗↩
- M-1グランプリ事務局「大会ルール」https://www.m-1gp.com/rule/↗↩
- 「M-1効果でブレイク!若手芸人のその後」お笑いナタリー、2023年1月10日。↩
- 「マヂカルラブリーM-1優勝で巻き起こった『漫才論争』の背景」文春オンライン、2020年12月23日。↩
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